レモンバームは、葉をもむとレモンのようなさわやかな香りがするシソ科のハーブで、「メリッサ」とも呼ばれます。とても丈夫で育てやすく、摘みたての葉で入れるフレッシュハーブティーは格別です。このページでは、レモンバームの特徴と名前の由来、伝統的な効能、ハーブティーや料理での使い方と保存方法、栽培カレンダー付きの育て方まで、まとめて紹介します。
| 名前・別名 | レモンバーム(Lemon balm)/メリッサ(Melissa)/セイヨウヤマハッカ(西洋山薄荷)/コウスイハッカ |
|---|---|
| 学名 | Melissa officinalis |
| 分類 | シソ科セイヨウヤマハッカ属(メリッサ属) |
| 種類 | 多年草 |
| 草丈 | 30〜80cm |
| 原産地 | 南ヨーロッパ〜西アジア |
| 花期 | 6〜8月(白い小花) |
| 香りの成分 | シトラール(ゲラニアール・ネラール)、シトロネラールなど |
| 寒さの目安 | 強い(冬は地上部が枯れて根で越冬) |
レモンバームとは?特徴と名前の由来
レモンバームは、南ヨーロッパから西アジアが原産の、シソ科の多年草です。つやのある明るい緑の、ふちがギザギザした卵形の葉を持ち、ミントの仲間らしく四角い茎がまっすぐ伸びます。葉をもむと、レモンによく似たさわやかな香りが広がります。レモンとは植物としてまったく関係がありませんが、香りの成分(シトラール)が共通しているため、よく似た香りがするのです。
学名の「メリッサ(Melissa)」は、ギリシャ語で「ミツバチ」という意味。夏に咲く白い小さな花にミツバチがよく集まることから名付けられました。「バーム」は、香りのよい樹脂「バルサム(香膏)」を短くした言葉です。レモンバームとメリッサは同じ植物で、精油やアロマテラピーでは「メリッサ」と呼ばれることが多くなっています。
長生きのハーブ
レモンバームは、ヨーロッパで最も古くから使われてきたハーブのひとつです。16世紀の医師で錬金術師のパラケルススは、レモンバームを「生命のエリキシル(万能薬)」と呼んで大切にしました。13世紀のウェールズには、毎日レモンバームのお茶を飲んで108歳まで生きたという王子の言い伝えもあり、「長生きのハーブ」として親しまれてきました。

レモンバームの効能と使い方
レモンバームは、ヨーロッパでは伝統的に、気持ちを落ち着かせたいときや、寝つきが気になるとき、食後に胃の調子を整えたいときなどに、お茶として飲まれてきました。やさしいレモンの香りでリラックスできるハーブとして、今も人気があります。
効能の位置づけと注意点
欧州医薬品庁(EMA)の薬草製品委員会は、レモンバームの葉を、長い使用実績にもとづく「伝統的なハーブ製品」として評価しています。認められている用途は、①軽いストレス症状をやわらげる、②寝つきを助ける、③おなかのはりなど軽い胃腸の不調をやわらげる、の3つです。科学的な試験で効果が証明された医薬品ではなく、昔から使われてきた実績にもとづく位置づけです。
- EMAの評価では、12歳以上の人が対象です。
- 2週間ほど続けても症状が変わらないときは、医師に相談しましょう。
- 妊娠中・授乳中の方、甲状腺の病気がある方、薬を飲んでいる方は、飲む前に医師や薬剤師に相談してください。
フレッシュハーブティー
レモンバームの香りは乾燥すると弱くなるので、摘みたての生の葉で入れるフレッシュハーブティーがおすすめです。葉を10枚ほど摘んで軽く洗い、手で軽くもんで香りを出してからポットに入れ、熱湯を約200ml注いで3〜5分蒸らします。はちみつを加えたり、紅茶や緑茶とブレンドしたりしても楽しめます。夏は水出しにするのもおすすめです。

料理・お菓子
生の葉は、そのままだと少し青くささがあるので、刻んでサラダやフルーツポンチに加えたり、ゼリーやクッキーの香り付けにしたりします。魚料理のソースや、ドレッシングに加えてもさわやかに仕上がります。
ハーブバス・暮らしの中で
葉を布の袋に入れてお風呂に浮かべると、やさしい香りのハーブバスになります。花にはミツバチがよく集まるので、庭に植えると受粉を助けるコンパニオンプランツとしても役立ちます。
保存方法
レモンバームは乾燥させると香りが弱くなりやすいハーブです。長く保存したいときは、生の葉を保存袋に入れて冷凍するか、製氷皿で水と一緒に凍らせておくと、香りが残りやすくなります。乾燥させる場合は、花が咲く前の香りが強い時期に収穫し、日陰で手早く乾かしましょう。
使うときの注意
- 甲状腺の病気がある人や、薬を飲んでいる人は、飲む前に医師に相談してください。
- 妊娠中・授乳中の人は、飲みすぎないようにし、心配な場合は医師に相談してください。
- 眠気を感じることがあるので、運転の前などは飲みすぎに注意しましょう。
- メリッサの精油は刺激が強いので、肌に使う場合は十分に薄めてください。
レモンバームの育て方
レモンバームは、寒さにも暑さにも比較的強く、とても育てやすいハーブです。こぼれ種でもふえるほど丈夫なので、初めてのハーブ栽培にもおすすめです。上手に育てるポイントは、乾かしすぎないことと、梅雨前の切り戻しです。
| 月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 種まき | 4月 | 5月 | 9月 | 10月 | ||||||||
| 植え付け | 3月 | 4月 | 5月 | 9月 | 10月 | |||||||
| 花期 | 6月 | 7月 | 8月 | |||||||||
| 挿し木 | 5月 | 6月 | 9月 | |||||||||
| 株分け | 3月 | 4月 | 10月 | |||||||||
| 収穫(葉) | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |

置き場所と土
日当たりのよい場所から明るい半日陰まで育ちますが、夏の強い直射日光が当たると葉が傷みやすいので、半日陰くらいがちょうどよい環境です。土は水もちと水はけのよい、栄養豊かなものを好みます。鉢植えは市販のハーブ用の培養土で十分です。
種まきと植え付け
種まきは春(4〜5月)か秋(9〜10月)。種は細かく、光を好むので、土はごく薄くかけます。本葉が4〜5枚になったら植え付けましょう。苗から育てると手軽です。株の間は30cmほどあけます。
水やりと肥料
乾燥が苦手なので、鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。夏は水切れに注意しましょう。肥料は、春と秋に緩効性の肥料を少量施します。
収穫と切り戻し
春から秋まで、必要なときに茎の先を摘んで収穫します。茎の先を摘むと、わき芽が伸びて株がこんもり茂ります。花が咲くと葉の香りが落ちるので、まとめて収穫するなら開花前がおすすめです。梅雨前には、株元から10cmほど残して全体を切り戻すと、蒸れを防いで新しい葉が出てきます。
冬越しとふやし方
冬は地上部が枯れても、根は寒さに強く、春にまた芽を出します。株分けは春か秋、挿し木は初夏か秋が適期です。茎を水に挿しておくだけでも根が出ます。こぼれ種でふえすぎることもあるので、花が咲き終わったら早めに刈り取りましょう。
レモンバームのよくある質問
- レモンバームとメリッサは違うものですか?
- 同じ植物です。学名がMelissa officinalisで、ハーブとしてはレモンバーム、精油やアロマテラピーではメリッサと呼ばれることが多くなっています。
- レモンバームの効能は?
- ヨーロッパでは伝統的に、気持ちを落ち着かせたいときや寝つきが気になるとき、食後に胃の調子を整えたいときなどに、お茶として飲まれてきました。欧州医薬品庁(EMA)も、軽いストレス症状・寝つき・軽い胃腸の不調の3つを、伝統的な用途として認めています(12歳以上が対象)。
- 乾燥させたら香りがほとんどしません。
- レモンバームは乾燥すると香りが弱くなりやすいハーブです。フレッシュで使うか、冷凍保存がおすすめです。乾燥させる場合は、花が咲く前に収穫し、日陰で手早く乾かしましょう。
- 夏に葉が黒っぽく傷んでしまいます。
- 強い直射日光や蒸れが原因と考えられます。夏は半日陰に移し、梅雨前に切り戻して風通しをよくしましょう。
このハーブの栽培・活用ガイド
育てている株の様子や季節に合わせて、確認することを案内します。































