ハーブと植物解剖学

植物の細胞と光合成

動物と植物の細胞

あらゆる生物の体は、細胞(Cell)という単位からできています。植物の細胞は、動物細胞と同じく細胞質や核、細胞小器官を包む細胞膜で出来ています。

さらに植物の場合、そこに液胞や葉緑体があり、外側は固いセルロースの細胞壁が水分蒸発を防いでいます。

細胞小器官には、核やミトコンドリア、ゴルジ体、リボソームやリソソームあり、植物で特に重要なものは主に葉の細胞で見られる葉緑体です。

葉緑体には、緑色の色素であるクロロフィル(ギリシャ語で緑のクロロスと、葉を意味するフィロンに由来)が含まれています。

クロロフィル(葉緑素とも言う)は、日光が当たると二酸化炭素と水を反応させることで炭水化物(ブドウ糖など)と酸素を作ることができ、光合成の中心的な役割を担っています。

光合成の条件

光合成は、以下の条件が揃った時に初めて起こります。

① 日光(光)
② 水(H2O)
③ 二酸化炭素(CO2
④ クロロフィル(C55H70O6N4Mg)

クロロフィルの種類

位置番号C2位分子式おもな分布
クロロフィルa単結合
(クロリン)
C55H72O5N4Mg一般
クロロフィルb単結合
(クロリン)
C55H70O6N4Mg植物
クロロフィルc1二重結合
(ポルフィリン)
C35H30O5N4Mg藻類
クロロフィルc2二重結合
(ポルフィリン)
C35H28O5N4Mg藻類
クロロフィルd単結合
(クロリン)
C54H70O6N4Mg藍藻
クロロフィルf単結合
(クロリン)
C55H70O6N4Mg藍藻

クロロフィル 化学式位置番号

クロロフィル 化学式位置番号

クロロフィルは、植物の葉緑体のチラコイドに多く存在する。4つのピロールが環を巻いた構造であるテトラピロールに、フィトール(phytol)と呼ばれる長鎖アルコールがエステル結合した基本構造を持つ。

環構造や置換基が異なる数種類が知られ、ひとつの生物が複数種類持つことも珍しくない。

花について

花の構造

花はもともと葉が変形したものと考えられており、「花葉(かよう)」と言います。

蕚(がく)の中には、まるで葉のようなものがありますし、花びらにも葉脈のような細いすじが見えることから、花が葉から進化してきたことが分かります

花の造りは多様なので、すべて同じというわけではありませんが、外側に緑色の「蕚」、きれいな色の「花冠(かかん)」があり、その内側に「雄しべ(雄ずい)」と「雌しべ(雌ずい)」といったこの4つが、被子植物の花の基本的な構成要素になっています。

ほとんどの植物は、受粉によって有性生殖を行いますが、花の役目はその受粉媒介者を引き付けることです。

鮮やかな色の花弁や模様で相手を誘い込むもの、強い香りで誘引するものなどあり、受粉が済むと花の役割は終わりです。花弁が落ちたり、受粉済みを示すために色が変わるほか、香りも無くなります。

このことから、エッセンシャルオイルを得るには「花を収穫するタイミングが重要である」ことが分かります。

花の色と昆虫

昆虫の目で見た植物は光っている

モモ 自然光撮影(人の目)
自然光撮影 モモ
モモ 紫外線蛍光撮影(昆虫の目)
紫外線蛍光撮影 モモ

転載許可:フォトショップサイトウ
参考資料:紫外線励起蛍光撮影ガイド

上の写真を見てください。

これは、特殊なカメラでモモの花を撮影した様子です。左は人間の目で見たモモの花、右側は昆虫の目で見たモモの花になります。

人間が見ると普通に見えるだけですが、昆虫が花を見ると蜜のある部分が光って見えています。そして、この光って見える部分(雄しべ)には花粉が付いているため、蜜を求めてきた昆虫に花の花粉が付き、遠くへ運んでもらうことができるのです。

昆虫の目は紫外線が見える

赤や青、黄色など数々の花の色は私たちを楽しませてくれますが、実際は花粉を媒介する昆虫たちのために独自の進化を遂げた色になっています。

人間は、赤、青、緑の光の三原色しか見ることができない一方で、昆虫やチョウは可視光線(波長400~780nm)よりも波長の短い紫外線A(UVA 315~400nm)を見ることができ、それで花や蜜などを見つけています。

その際、紫外線を花が反射することで、虫たちの目にはピンクや白い花、雄しべが光って見えたり、黄色い花は赤く見えていることが分かっています。

また、花びら(花弁)には色のほかに様々な模様や斑点が付いていることがあり、そのような模様は雌しべや雄しべ、蜜のある場所を示していて、まるで昆虫を誘導するように走っているので、ガイドマークまたはガイドラインと呼ばれています

さらに、虫たちには好みの色があります。

アゲハチョウ例えば、コガネムシやハナカミキリなどの甲虫類は白い花が好きで、花の蜜ではなく花粉を食べています。

そこで、白い花はコガネムシが花の上を歩きやすいよう平たく咲いたり、蜜がべたついて花粉が食べにくくならないよう蜜がないことも多いです。

なお、媒介昆虫として初めに出てきたのがこの甲虫類で、白ぐらいしか見えないので最初のころの花は白が多かったと思われます。

菜の花とミツバチ次に出てきたのは黄色い花で、春の初めにはアブを引き寄せるためタンポポや菜の花などの黄色い花が多く咲きます

春になると動き出すミツバチは、主に嗅覚で花のありかを見つけ出しますが、青、緑、黄色の認識はできます。

さらに、ハナバチの一部は紫、チョウはその複眼でより多くの色を識別することが可能で、紫や赤などの色も見分けています

チョウに関してですが、甲虫類やミツバチと異なり、蜜を吸うときは口をストロー状に伸ばすため、なかなか体に花粉が付きません。

そこで、花粉を体に付かせるため紫色の花はアヤメのように複雑な形をしていたり、赤や橙の花は、ユリやツツジのように人間が舐めても甘いくらい大量の蜜が用意されています。

また、ツバキなど虫のいない冬の時期に赤い花の咲くものは、メジロやヒヨドリなどの鳥類を呼び寄せ受粉を媒介させています。

一方、青や黒などの色の花は少ないですが、以上のことを踏まえるとこれらの色を見分けられる媒介昆虫が少ないためと考えることができるでしょう。

このように、どれも花粉を運ぶ昆虫を引きつけるために進化の過程で獲得した形質ですから、人間だけが特別でより多様な目的で花を利用しているとも言えそうです。

花の色と昆虫の好み

花の色主な昆虫など代表的なハーブ
コガネムシやハナカミキリなどの甲虫類、モンシロチョウカモミールワイルドストロベリー
アブ、ハチ、モンシロチョウフェンネルタンデライオンディルレディースマントル
ギフチョウ、ハナバチアーティチョークコモンマロウラベンダー
アゲハチョウ、鳥セージハイビスカス

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