ハーブの歴史(中世Ⅰ) 紀元5世紀~13世紀

古代ローマ人とハーブ

ローマのコロッセオローマ人は、ギリシャ人にも増して香料をたっぷり消費しました。

ローマ人の香料商(ウングエンタリウス)はたくさんおり、ウェラプルムのウィクス・トゥラリクスという町の一区域を占めていました。

しかし、西暦476年に西ローマ帝国がゲルマン人の傭兵隊長オドアケルに滅ぼされると、生き残ったローマ人たちは東ローマ帝国のコンスタンチノープルに逃れました

その際、香料類についての知識もこのローマ人たちと一緒にそこへ移り、香料類とガムの通商は東ローマ帝国の重要な経済要素になりました。

アウィケンナとバラ水

山積みの本精油を取り出す方法のひとつ、『蒸溜法』について10世紀末に発明したとされるのは、アブ・アリ・アル=フセイン・イブン・アラー・イブン・シーナ、すなわちヨーロッパでアウィケンナとして知られるアラビアの医師でした。

この非凡な人物は、58年間の遍歴生活中に暇を見つけては100冊近くもの書物を残しました

当時、アラブ人たちは科学に関して偉大な進歩を遂げていましたので、蒸溜法の発見は化学の分野での進歩から生まれた当然の結果でした。

バラ水アウィケンナは、最初の実験材料として東方世界で最も愛好される花の一つ、バラを選びました。「グル・サド・バルク」という名で有名なケンティフォリア種のバラを用いたと言われています。

アウィケンナは、そのほかの植物にも注意を向け、各種のエッセンスと香水を蒸溜法しました。

バラ水は当時最も人気のあった香水で、十字軍の時代にほかのさまざまな香料とエッセンスとともに東方からヨーロッパにやってきました。

こうした製品はすぐにヨーロッパの商人の目にとまり、12世紀末までにはヨーロッパでも独自の香料製造業者が出現するようになりました。

ラベンダー1190年には、フランスの香料製造業者たちがフィリップ2世(1165~1223年 フランス国王)から勅許を受けています。

最初のうちは、香料類の多くは東方の香料をそのまま模倣したものでしたが、13世紀の終わりまでにはヨーロッパも独自のファッションを打ち出し始めました

イギリスのサリー州のミッチャムでラベンダーが栽培されており、ラベンダー水が広く親しまれるようになってきています

アウィケンナ(980年~1037年) 国籍、職業:アラビア、哲学者・医者・科学者

イブン=シーナとも呼ばれ、10歳で『コーラン』を暗唱し、18歳までにイスラム法学・数学・天文学・アリストテレスの形而上学・新プラトン主義・ガレノスの医学・錬金術・占星術などあらゆる分野の学問を習得しました。

当時におけるギリシア・アラビア医学の集大成である『医学典範』、膨大な知識を集めた百科事典的なものでアリストテレスの思想が紹介された『治癒の書』などのほか、100冊近く執筆しています。

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