マンドラゴラ(マンドレイク)とは?実在する植物と叫び声の伝説

マンドレイク(マンドラゴラ)の根の挿絵

マンドラゴラ(マンドレイク)は、実在するナス科マンドラゴラ属の植物です。人の姿に似た根を持つことがあり、「引き抜くと叫ぶ」という伝説で知られています。マンドレイクは英語の呼び名で、マンドラゴラと別の植物というわけではありません。このページでは、実際の姿、叫び声の伝説、アルラウネとの関係を紹介します。

食用のハーブではありません。有毒な成分を含むため、葉・根・実を食べたり、ハーブティーや自家製の薬に使ったりしないでください。

ハーブと花のフォーラム・掲示板マンドラゴラ(マンドレイク)とは?実在する植物と叫び声の伝説について、聞いてみたいことはありますか?ハーブの育て方・使い方を、写真付きで気軽に相談できます。+ 質問・写真を投稿するフォーラムを見る

マンドラゴラとは?実在する植物の特徴

マンドラゴラは、地面近くに葉を広げ、地下に太い根を伸ばす多年草です。葉の中心付近に釣り鐘形の花を付け、花のあとには丸い実ができます。物語に登場するような、顔のある小さな人間の姿で育つわけではありません。

植物の仲間ナス科マンドラゴラ属(Mandragora)
代表的な学名Mandragora officinarum L.
生育の特徴多年草。葉をロゼット状に広げ、太い根を持つ
根の特徴枝分かれした形が、人の胴体や脚に見えることがある
自生地の例M. officinarum の自生地は、Kewの分類では北イタリアからバルカン半島北西部
利用上の注意有毒。食用・飲用には使わない

マンドラゴラ属には複数の種があります。属全体の分布と、個々の種の自生地は分けて考える必要があります。上の表は、代表的な種である Mandragora officinarum を中心にまとめています。Kewの植物分類データで学名と自生地を確認できます。

マンドラゴラを紹介する既存の図版
実在する植物と、人の姿をした伝説上のイメージを区別して見てみましょう。

マンドレイク・マンドラゴラ・アルラウネの違い

3つの名前は、主に言語や使われる場面の違いです。名前が違うからといって、それぞれ別の植物種や亜種を指すとは限りません。

呼び名意味・使われ方
マンドレイク(mandrake)英語の呼び名。植物にも、伝説上の存在にも使われる
マンドラゴラ(Mandragora)植物の属名。日本語では植物や伝説上の存在の呼び名としても使われる
アルラウネ(Alraune)ドイツ語の呼び名。根を使ったお守りや、その伝承にも関わる

アルラウネを「マンドレイクの亜種」と説明するのは適切ではありません。ドイツ医学史博物館の解説でも、アルラウネを Mandragora officinarum、英語ではmandrakeと紹介しています。小説やゲームでは独自の設定が加わることがあるため、作品の設定と植物の分類は分けて読むとわかりやすくなります。

アルラウネの伝承を紹介する既存の図版
アルラウネはドイツ語の呼び名です。図版は植物の分類を示すものではありません。

マンドラゴラは本当に叫ぶ?叫び声の伝説

引き抜くと人間のように叫び、その声を聞くと死ぬという話は、伝説です。実在するマンドラゴラの性質として、そのような叫び声が確認されているわけではありません。

根が人の姿に見えることや、植物に強い作用があることから、古くから特別な力を持つ存在と考えられてきました。そこに、採取する人を危険にさらす叫び声の物語が重なっています。ただし、伝説が生まれた経緯を1つに決めることはできません。「根を引き抜く音が由来」と断定する根拠も、ここでは確認できていません。

英国王立植物園Kewは、叫び声の伝説がシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』や『ハリー・ポッターと秘密の部屋』にも取り入れられていることを紹介しています。作品での描写をきっかけに、実物の植物に関心を持った方も多いでしょう。Kewの解説「The love potion」では、植物と伝説の関係を読むことができます。

人の姿に似たマンドラゴラの根を題材にした既存の図版
人に似た根の形は、マンドラゴラをめぐる物語の大きな題材になりました。

犬を使って引き抜く話も伝説の一部

中世の薬草書には、犬と植物の根をひもで結び、犬に引き抜かせる場面が描かれています。これは、危険な叫び声を人が聞かずに根を手に入れるための方法として語られたものです。大英図書館は、犬や角笛が登場する写本の図を紹介しています。

こうした図は、当時の人々が植物をどう捉えていたかを伝える資料です。実際の園芸作業を説明するものとして読まず、伝承として楽しみましょう。大英図書館の写本紹介に、その例が掲載されています。

犬を使ってマンドラゴラを引き抜く伝説の既存図版
犬を使う採取の話は、叫び声をめぐる伝説の一部です。

毒性がある植物として知っておきたいこと

マンドラゴラには、スコポラミンなどのアルカロイドが含まれます。昔の薬草書に薬としての利用が記されていても、家庭で安全に使えることを意味しません。伝説上の叫び声よりも、実際の毒性に注意する必要があります。

英国王立園芸協会(RHS)の植物情報では、食べると有毒であること、取り扱う際には手袋などを使うこと、犬や猫にとっても食べると有毒であることが示されています。観賞する場合も、子どもやペットが口にできない場所で管理してください。

マンドラゴラについてのよくある質問

マンドラゴラは架空の植物ですか?

実在する植物です。ナス科マンドラゴラ属の植物を指します。「人の顔がある」「引き抜くと叫ぶ」といった描写は、伝説や作品の設定です。

マンドレイクとマンドラゴラは別の種類ですか?

呼び名だけで別の種類とは判断できません。マンドレイクは英語名、マンドラゴラは属名に由来する呼び名です。植物の種を確かめるには、学名を確認します。

アルラウネはマンドレイクの亜種ですか?

アルラウネはドイツ語の呼び名で、植物学上の亜種名ではありません。伝承や創作では、その根や人形のような存在を指すこともあります。

マンドラゴラをハーブティーにできますか?

有毒なので飲用に使わないでください。ハーブティーを楽しむ場合は、食品として販売されている材料を選びましょう。

植物とハーブの物語をもっと読む

関連記事

  1. シルフィウムのイメージ(黄色い花をつけるセリ科の植物) シルフィウムとは?絶滅・再発見説とハートマークの謎
  2. ヴォイニッチ手稿の植物の挿絵 【ヴォイニッチ手稿】人間は植物に支配されている
4.3 6 votes
記事の評価レート
通知
更新通知を受け取る »
guest
0 コメント
Oldest
Newest 最多投票数

ハーブの不思議な話

  1. シルフィウムのイメージ(黄色い花をつけるセリ科の植物)
  2. ヴォイニッチ手稿の植物の挿絵
  3. マンドレイク(マンドラゴラ)の根の挿絵

おすすめ記事

野菜とハーブを育てる畑(コンパニオンプランツ) コンパニオンプランツ早見表|ハーブと野菜の相性一覧

コンパニオンプランツ早見表(PDF)を無料ダウンロードコンパニオンプランツとは…

バジルの葉 バジルとは|何科?種類(ダークオパールなど)と効能・使い方・育て方

バジルは、さわやかで甘い香りの葉が、パスタやピザ、カプレーゼなどイタリア料理に欠かせないシソ科のハー…

小瓶に入った精油と花 精油を安全に使うために

天然ものだからといって、100%安全ではない精油が植物から抽出した100%天然もの…

ハーブを育てる女性 【ハーブ7選】初心者でも育てられるハーブをランキングで紹介

育てやすいハーブとは「ハーブを育てる」と聞くと、なんだか丁寧に育てないといけないような印象を抱きま…

カモミールの白い花 カモミールの効能・効果|ジャーマンとローマンの違い・ハーブティー・育て方

カモミールは、りんごのような甘い香りの白い小花を咲かせるキク科のハーブで、和名を「カミツレ」といいま…

人気記事

  1. アロマテラピー検定 過去問題集|1級・2級を無料で解く 精油の瓶とピンクの花(アロマテラピー検定 過去問題集)
  2. 精油(エッセンシャルオイル)の抽出方法 精油(エッセンシャルオイル)の瓶
  3. ハーブの種類一覧|名前がわからないハーブも写真・香り・花の色から探せる図鑑 ハーブ図鑑のタイトル画像

記事ランキング

カテゴリー

おすすめ記事

  1. ワイルドストロベリーの赤い実と白い花
  2. ローリエ(月桂樹)の乾燥葉
  3. ニゲラの青い花
  4. 古代の遺跡
  5. ローマのコロッセオ
PAGE TOP
0
質問やコメントをどうぞ!x