ハーブの「ベルガモット」は、たいまつのような赤い花を咲かせる北アメリカ原産のシソ科の多年草で、「モナルダ」「タイマツバナ」とも呼ばれます。紅茶のアールグレイの香り付けに使われる柑橘の「ベルガモット」とは、まったく別の植物です。このページでは、2つのベルガモットの違い、ハーブティーや花の使い方、花色の品種、育て方まで、まとめて紹介します。
| 名前・別名 | ベルガモット/モナルダ/タイマツバナ(松明花)/ビーバーム/オスウィーゴティー |
|---|---|
| 学名 | Monarda didyma |
| 分類 | シソ科ヤグルマハッカ属(モナルダ属) |
| 種類 | 多年草 |
| 草丈 | 60cm〜1.2m |
| 原産地 | 北アメリカ東部 |
| 花期 | 6〜9月(赤・ピンク・紫・白など) |
| 寒さの目安 | 強い(冬は地上部が枯れて根で越冬) |
ベルガモット(モナルダ)とは?特徴と名前の由来
ベルガモットは、北アメリカ東部の湿り気のある林のふちなどに自生する多年草です。夏から秋にかけて、枝先に細長い唇形の花が放射状に集まって咲き、その姿がたいまつの炎のように見えることから、和名で「タイマツバナ」と呼ばれます。花のまわりの苞(ほう)も色づき、遠くからでもよく目立ちます。
葉をもむと、柑橘のベルガモットに似たさわやかな香りがすることから「ベルガモット」の名が付きました。属名の「モナルダ(Monarda)」は、アメリカ大陸の植物を研究したスペインの医師ニコラス・モナルデスにちなみます。花にミツバチがよく集まるため、英語では「ビーバーム(ミツバチの香草)」とも呼ばれます。
ハーブのベルガモットと柑橘のベルガモットの違い
「ベルガモット」と検索すると、紅茶のアールグレイや精油の香りとして知られる柑橘のベルガモットがよく出てきます。名前は同じでも、植物としてはまったく別の仲間です。
| ハーブのベルガモット | 柑橘のベルガモット | |
|---|---|---|
| 植物の仲間 | シソ科の多年草(モナルダ) | ミカン科の果樹 |
| 学名 | Monarda didyma | Citrus bergamia |
| 主な産地 | 北アメリカ原産。日本の庭でも育つ | イタリア南部で主に栽培 |
| 使う部分 | 葉・花(ハーブティー、料理、ポプリ) | 果皮の香り(アールグレイ、精油) |

オスウィーゴティーとボストン茶会事件
ベルガモットは、オンタリオ湖に近いオスウィーゴ地方の先住民が、お茶として飲んでいたことから「オスウィーゴティー」とも呼ばれます。北アメリカに渡ったイギリスからの移民も、先住民からその使い方を教わりました。
1744年にはアメリカの植物学者ジョン・バートラムがロンドンへ種を送り、イギリスでも人気の園芸植物になります。さらに1773年、イギリスの茶税法に反発した植民地の人々が紅茶の箱を海に投げ捨てた「ボストン茶会事件」をきっかけに紅茶の不買が広がると、紅茶の代わりとしてオスウィーゴティーが盛んに飲まれるようになったといわれています。
ベルガモットの使い方
ハーブティー
ベルガモットの葉と花は、ハーブティーとして楽しめます。生の葉なら5〜6枚、乾燥させた葉や花なら小さじ1〜2杯をポットに入れ、熱湯を注いでふたをし、3〜5分蒸らします。さわやかな香りに、ほのかなスパイシーさがあります。赤い花びらを加えると美しい色に色づき、レモンを入れるとさらに鮮やかな色合いになります。紅茶にブレンドしても楽しめます。

料理・お菓子
若い葉は、サラダやワインの香り付け、肉の詰め物料理に使います。花びらはサラダに散らして彩りにしたり、パンやクッキーの生地に混ぜ込んだりします。
ポプリ・ドライフラワー・庭の彩り
花は色あせにくく、乾燥させてポプリやドライフラワーにも使えます。蜜源植物としてミツバチやチョウを呼ぶので、庭に植えると夏の花壇がにぎやかになります。
使うときの注意
- 妊娠中・授乳中の人は、ハーブティーを飲むのを控えるか、医師に相談してください。
- 体質に合わないと感じたら、飲むのをやめましょう。
- 農薬を使っていない株の葉や花を使いましょう。
ベルガモットの効能と注意点
ベルガモット(モナルダ)の葉や花には、柑橘に似た爽やかな香りがあり、品種や系統によってはタイムやオレガノに近いすっきりした清涼感もあります。
北米の先住民は、この葉をお茶にして、風邪のときや胃の調子が悪いときに飲んでいたと伝えられています。今もハーブティーとして、気分をすっきりさせたいときや食後に楽しまれています。
ただし、医薬品のような効果が確かめられたハーブではありません。体調が悪いときは、お茶に頼らず医師に相談してください。妊娠中・授乳中の方や、持病で薬を飲んでいる方は、飲む量を控えめにし、心配なときは医師に相談しましょう。
ベルガモットの品種と花の色
ベルガモットは園芸品種が多く、赤のほか、ピンク、紫、白などの花色が楽しめます。香りは品種による差が少ないので、好みの花色で選んでかまいません。
| 花色 | 主な品種 | 特徴 |
|---|---|---|
| 赤 | ケンブリッジ・スカーレット、ファイアーボール | 昔からある定番の赤花。ファイアーボールは草丈35cmほどのコンパクトな品種 |
| ピンク | ビューティー・オブ・コバム、クロフトウェイ・ピンク | やさしい淡いピンクから濃いピンクまで |
| 紫 | ブルー・ストッキング、パープル・ルースター | 藤色〜濃い紫。パープル・ルースターはうどんこ病に比較的強い |
| 白 | スノー・メイデン | 白い花が輪のように咲き、花期が長い |
ベルガモットの育て方
ベルガモットは寒さに強く、一度植えると毎年花を咲かせる丈夫なハーブです。気を付けたいのは乾燥とうどんこ病の2つ。土を乾かしすぎず、風通しよく育てるのがポイントです。
| 月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 種まき | 3月 | 4月 | ||||||||||
| 植え付け | 3月 | 4月 | 10月 | 11月 | ||||||||
| 花期 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | ||||||||
| 挿し木 | 5月 | 6月 | 9月 | 10月 | ||||||||
| 株分け | 3月 | 4月 | 9月 | 10月 | ||||||||
| 収穫(葉・花) | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |

置き場所と日当たり
日当たりのよい場所から、明るい半日陰までよく育ちます。日なたのほうが花つきはよくなりますが、真夏の強い西日が当たると葉が傷みやすいので、午後は日陰になる場所が理想です。
土と植え付け
乾燥に弱く、やや湿り気のある、水もちのよい土を好みます。植え付けは春(3〜4月)か秋(10〜11月)。植え付ける場所には腐葉土と元肥を混ぜておきます。地下茎で横に広がるので、株の間は30〜40cmほどあけましょう。
水やりと肥料
鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。水切れすると葉がしおれて下葉が枯れ上がるので、夏は特に注意します。地植えでも、真夏に晴れの日が続いたら水やりをしましょう。肥料を好むので、春と、花が終わったあとの秋に、緩効性の肥料を追肥します。
うどんこ病対策
葉に白い粉をふいたようなカビが付く「うどんこ病」にかかりやすいハーブです。株が混み合って風通しが悪くなると発生しやすいので、株の間隔をあけ、混み合った茎は根元から間引きます。病気の葉は早めに取り除きましょう。
花後の手入れと冬越し
咲き終わった花を摘み取ると、次の花が咲きやすくなります。冬は地上部が枯れますが、根は寒さに強く、春になると新しい芽が出てきます。枯れた茎は根元で切り取っておきます。
ふやし方
3年ほど育てると株が混み合い、中心部の勢いが弱くなってくるので、春(3〜4月)か秋(9〜10月)に株分けして若返らせます。初夏や秋に、元気な茎の先を挿し木してもふやせます。
ベルガモットのよくある質問
- アールグレイの香りのベルガモットと同じものですか?
- いいえ、別の植物です。アールグレイの香り付けに使われるのは、ミカン科の柑橘「ベルガモット」の果皮です。ハーブのベルガモット(モナルダ)は、葉の香りが柑橘のベルガモットに似ていることから同じ名前で呼ばれています。
- ベルガモットのハーブティーはどんな味ですか?
- さわやかな香りに、少しスパイシーさのある味わいです。赤い花びらを入れると、きれいな色のハーブティーになります。紅茶にブレンドするのもおすすめです。
- 葉に白い粉のようなものが付きました。
- うどんこ病の可能性があります。白くなった葉を取り除き、混み合った茎を間引いて風通しをよくしましょう。株を植えるときに間隔をあけておくと予防になります。
- 花が咲きません。
- 日照不足や肥料不足、株が古くなって混み合っていることが考えられます。日当たりのよい場所に移し、3年ほど経った株は株分けして若返らせましょう。
このハーブの栽培・活用ガイド
育てている株の様子や季節に合わせて、確認することを案内します。

































ボストン茶会事件について、追記しました。