アロエは、肉厚の葉にたっぷりとゼリー状の葉肉をたくわえた多肉植物です。日本の家庭でよく見かけるのは、昔から「医者いらず」と呼ばれてきたキダチアロエと、ヨーグルトなどの食用や化粧品の原料になるアロエベラの2種類。このページでは、2つの違い、食べ方や肌への使い方、栽培カレンダー付きの育て方まで、まとめて紹介します。
| 名前・別名 | アロエ/医者いらず(キダチアロエ)/蘆薈(ろかい) |
|---|---|
| 学名 | Aloe(アロエ属) キダチアロエ:Aloe arborescens アロエベラ:Aloe vera |
| 分類 | ツルボラン科アロエ属(ススキノキ科、古い分類ではユリ科とされることもあります) |
| 種類 | 多年草(多肉植物) |
| 草丈 | 鉢植えで30cm〜1m程度(キダチアロエは暖地の地植えで2m以上になることも) |
| 原産地 | アフリカ南部〜東部、アラビア半島など |
| 花期 | キダチアロエは冬(12〜2月)に朱赤色の花 |
| 寒さの目安 | キダチアロエ:0℃前後まで/アロエベラ:5℃以上 |
アロエの特徴と種類
アロエ属は、アフリカやアラビア半島の乾燥地を中心に500種以上が知られる多肉植物の仲間です。とげのある肉厚の葉を放射状に広げ、葉の中に水分をたくわえて乾燥に耐えます。日本では、育てやすく丈夫なキダチアロエと、葉肉の多いアロエベラが広く出回っています。
キダチアロエとアロエベラの違い
| キダチアロエ | アロエベラ | |
|---|---|---|
| 見た目 | 茎が木のように立ち上がる(「木立」の名の由来)。葉は細めでとげが目立つ | 茎はほとんど伸びず、根元から太く肉厚の葉を広げる |
| 葉肉 | 少なめで苦味が強い | ゼリー状の葉肉が多く、苦味が少ない |
| 主な使い方 | 家庭の常備薬として民間療法に。観賞用 | ヨーグルトなどの食用、化粧品やジェルの原料 |
| 寒さ | 比較的強い(0℃前後まで) | 弱い(5℃以上を保つ) |
| 花 | 冬に朱赤色の筒形の花を穂状に咲かせる | 黄色い筒形の花を咲かせる |

名前の由来
「アロエ」は、苦いという意味のアラビア語「アロッホ」に由来するといわれます。アロエベラの「ベラ(vera)」はラテン語で「真の」という意味です。日本には鎌倉時代に中国から伝わったとされ、漢名の「蘆薈(ろかい)」の名で知られていました。
アロエの歴史とエピソード
古代エジプトとクレオパトラ
紀元前1550年ごろに書かれた古代エジプトの医学書『エーベルス・パピルス』には、アロエを使った処方が記されています。絶世の美女として知られる女王クレオパトラも、強い日差しから肌を守るためにアロエの汁を肌に塗っていたという言い伝えがあります。現在でも、ハンドクリームや日焼け後のローション、シャンプーなど、アロエの成分を使った製品はたくさんあります。
アレキサンダー大王とソコトラ島
紀元前4世紀のアレキサンダー大王は、師であるアリストテレスからアロエのことを聞き、アロエの産地として知られたソコトラ島(アラビア海の島)を手に入れて、遠征中の兵士の手当てに使ったという逸話が伝わっています。アロエが古くから「役に立つ植物」として大切にされてきたことがうかがえます。
アロエの使い方
食べる(ヨーグルト・刺身など)
食用に向いているのは、葉肉が多く苦味の少ないアロエベラです。葉を切り取ったら、とげと緑色の皮をむいて透明なゼリー状の葉肉だけを取り出し、さっと湯通ししてヨーグルトやフルーツと合わせたり、わさび醤油で刺身のように食べたりします。
皮のすぐ内側から出る黄色い汁には、苦味のもとになる成分(アロインなど)が含まれ、お腹がゆるくなることがあります。皮はていねいに取り除き、葉肉は水でよく洗ってから使いましょう。

肌のお手入れ・やけどの民間療法
アロエは昔から、軽いやけどや日焼けのあと、虫刺されなどに葉肉を当てる民間療法に使われてきました。キダチアロエが「医者いらず」と呼ばれるのはこのためです。
やけどにアロエを使う前に
- やけどをしたら、まず流水で15〜30分ほど十分に冷やすことが大切です。
- 水ぶくれができた、範囲が広い、痛みが強いといった場合は、アロエを使わずに医療機関を受診してください。
- アロエで肌がかぶれる人もいます。使う前に腕の内側などで少量試しましょう。傷口には使わないでください。
アロエ酒
皮ごと刻んだキダチアロエの葉を、氷砂糖と一緒にホワイトリカーに漬け込むと、ほろ苦いアロエ酒になります。3か月ほど漬けてから葉を取り出して楽しみます。
食べるときの注意
- 妊娠中・授乳中の人、小さな子ども、お腹の弱い人や腸の病気がある人は、食べるのを控えるか医師に相談してください。
- キダチアロエは苦味が強く、お腹がゆるくなりやすいので、食べるならごく少量にします。
- どの種類も、一度にたくさん食べるのは避けましょう。
アロエの育て方
アロエは乾燥に強く、ほとんど手間のかからないハーブです。失敗の原因のほとんどは水のやりすぎと冬の寒さ。この2つに気を付ければ、初心者でも長く育てられます。
| 月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け・植え替え | 4月 | 5月 | 6月 | |||||||||
| 株分け | 4月 | 5月 | 6月 | |||||||||
| さし芽 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | |||||||
| 花期(キダチアロエ) | 1月 | 2月 | 12月 | |||||||||
| 収穫(葉) | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 |
※寒さの目安:キダチアロエは0℃前後まで、アロエベラは5℃以上。地域や株の状態によって前後します。

置き場所と日当たり
日当たりと風通しのよい場所を好みます。春から秋は屋外で育てられますが、長雨に当たると根腐れしやすいので、軒下など雨の当たらない場所がおすすめです。室内で育てていた株を急に強い日差しに当てると葉焼けすることがあるので、少しずつ慣らしましょう。
用土と植え付け
水はけのよい土が欠かせません。市販の「サボテン・多肉植物用の土」を使うのが手軽です。自分で配合するなら、赤玉土(小粒)5:軽石(または川砂)3:腐葉土2が目安です。植え付けや植え替えは4〜6月に行い、根が鉢いっぱいになったら2年に1回ほど、ひと回り大きな鉢に植え替えます。植え替え直後は水を与えず、1週間ほどたってから水やりを始めます。
水やりと肥料
春から秋は、土が完全に乾いてから鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。葉に水分をためているので、乾かし気味で大丈夫です。冬は生長がゆっくりになるため、月に1〜2回、暖かい日の午前中に軽く与える程度にします。
肥料はほとんど必要ありません。春(4〜5月)と秋(9〜10月)に、緩効性の化成肥料を少量置く程度で十分です。
冬越し
寒さに当たると、葉が柔らかくなったり透き通ったりして傷んでしまいます。キダチアロエは0℃前後まで耐えますが、霜には当てないようにしましょう。関東より西の暖かい地域では、軒下で冬越しできることもあります。寒さに弱いアロエベラは、冬は室内の日当たりのよい窓辺に取り込み、5℃以上を保ちます。冬に水を控えて乾かし気味にすると、寒さに強くなります。
ふやし方(株分け・さし芽)
株元から出てくる子株を、4〜6月の植え替えの際に根を付けて切り分ければ、簡単にふやせます(株分け)。キダチアロエは、茎を10〜15cmほどの長さで切り取る「さし芽」でもふやせます。切り口を日陰で1週間ほどよく乾かしてから乾いた土に挿し、数日たってから水やりを始めると、根腐れを防げます。
よくあるトラブルと対策
- 根元が黒く柔らかくなる:水のやりすぎによる根腐れ。傷んだ部分を切り取り、切り口を乾かしてから新しい土に植え直します。
- 葉がしわしわになる:水不足。土がしっかり乾いていたら、たっぷり水を与えます。
- 葉が茶色や赤っぽくなる:寒さや強い日差しによるもの。置き場所を見直しましょう。
- 葉が細く間延びする:日照不足。日当たりのよい場所に移します。
- 白い綿や小さな粒が付く:カイガラムシ。歯ブラシなどでこすり落とします。
アロエのよくある質問
- キダチアロエとアロエベラ、育てるならどちらがいい?
- 寒さに強く丈夫なのはキダチアロエです。屋外で気軽に育てたいならキダチアロエ、ヨーグルトなどで食べたいならアロエベラがおすすめです。アロエベラは冬に室内へ取り込めるよう、鉢植えで育てましょう。
- アロエの葉が柔らかくなって透き通ってきました。
- 寒さで葉が傷んだか、水のやりすぎで根腐れしている可能性があります。冬は室内の明るい場所に移して水を控え、根元が黒く柔らかい場合は傷んだ部分を取り除いて植え直します。
- アロエの花が咲きません。
- 株がまだ若いか、日照不足が考えられます。キダチアロエは、ある程度大きく育った株を日当たりのよい場所で育てると、冬に朱赤色の花を咲かせます。
- キダチアロエは食べられますか?
- 食べられますが、苦味が強く、お腹がゆるくなりやすいのでごく少量にします。食べるなら、葉肉が多く苦味の少ないアロエベラが向いています。
このハーブの栽培・活用ガイド
育てている株の様子や季節に合わせて、確認することを案内します。


































