アンゼリカ(アンジェリカ)は、2mほどにもなる大きな株に、黄緑色の丸い花を咲かせるセリ科のハーブです。「天使のハーブ」とも呼ばれ、ヨーロッパでは茎の砂糖漬けをお菓子の飾りに、根や種をリキュールの香り付けに使ってきました。このページでは、アンゼリカの特徴と名前の由来、伝統的な効能と使い方、注意点、育て方まで、まとめて紹介します。
| 名前・別名 | アンゼリカ/アンジェリカ(Angelica)/ガーデンアンゼリカ/エンジェルズハーブ |
|---|---|
| 学名 | Angelica archangelica |
| 分類 | セリ科シシウド属 |
| 種類 | 二年草〜短命な多年草 |
| 草丈 | 1〜2m |
| 原産地 | 北ヨーロッパ〜西アジア |
| 花期 | 2年目の6〜7月(黄緑色の小花が丸く集まる) |
| 寒さの目安 | 強い(暑さに弱い) |
アンゼリカとは?特徴と名前の由来
アンゼリカは、北ヨーロッパの川辺や湿った草地に自生する、セリ科の大型のハーブです。太く中が空洞の茎がまっすぐ伸び、大きく切れ込んだ葉を広げます。2年目の初夏になると、茎の先に黄緑色の小さな花がたくさん集まり、ボールのような丸い形に咲きます。根や茎、種には、甘くさわやかな、少しじゃこうに似た香りがあります。
学名のarchangelicaは「大天使の」という意味です。大天使ミカエルの祝日(5月8日)のころに花を咲かせることから名付けられたという説や、疫病が流行したとき、大天使が修道士の夢に現れてこの草が病を防ぐと告げた、という言い伝えがあります。そのため、ヨーロッパでは「天使のハーブ」と呼ばれ、魔よけとして大切にされてきました。
日本のシシウドやアシタバの仲間
アンゼリカは、日本の山野に生えるシシウドや、伊豆諸島の野菜アシタバ、生薬のトウキ(当帰)と同じシシウド属の仲間です。

アンゼリカの効能と使い方
アンゼリカは、ヨーロッパで昔から薬草として使われ、伝統的に、食後に胃の調子を整えたいときや、体を温めたいときに、根をお茶にして飲まれてきました。
茎の砂糖漬け
ケーキやお菓子の上に飾られている緑色の砂糖漬けを「アンゼリカ」と呼ぶのは、もともとこのハーブの茎を砂糖漬けにしたものだったからです。春のやわらかい若い茎をゆでて筋と皮をむき、シロップで何度か煮て砂糖を含ませ、乾かして作ります。現在、日本で売られている「アンゼリカ」の多くは、フキを使って作られています。

リキュールの香り付け
アンゼリカの根や種は、ジンやベネディクティン、シャルトリューズなど、ヨーロッパのさまざまなリキュールの香り付けに欠かせない材料です。
料理・ハーブティー
若い葉や茎は、煮込み料理やジャムの香り付けに少量使います。ルバーブのジャムに加えると、酸味がやわらぐといわれます。乾燥させた根を煮出したハーブティーは、苦みのあるさわやかな味わいです。
使うときの注意
- アンゼリカの汁には、肌が日光に敏感になる成分(フロクマリン)が含まれています。汁が肌についた状態で日光に当たると、かぶれることがあります。作業は手袋と長袖で行いましょう。
- 妊娠中・授乳中の人、糖尿病の人、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる人は、使わないでください。
- 野生のセリ科の植物には、ドクニンジンなどアンゼリカとよく似た毒草があります。野生のものを摘んで食べるのは絶対にやめましょう。
アンゼリカの育て方
アンゼリカは、北ヨーロッパの涼しい気候を好むハーブです。日本の夏の暑さが苦手なので、明るい半日陰で、湿り気のある土で育てましょう。大きく育つので、広いスペースが必要です。
| 月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 種まき | 9月 | 10月 | ||||||||||
| 植え付け | 3月 | 4月 | 10月 | |||||||||
| 花期 | 6月 | 7月 | ||||||||||
| 収穫(茎・葉) | 4月 | 5月 | 6月 | |||||||||
| 収穫(根) | 10月 | 11月 |
※花は2年目に咲き、咲いたあとに株が枯れることが多いです。

種まき
アンゼリカの種は、時間がたつと発芽する力が急に弱くなります。とれたての新しい種を、秋(9〜10月)にまくのがおすすめです。種は光を好むので、土はごく薄くかけます。発芽率が低いので、苗が手に入れば苗から育てるほうが手軽です。
置き場所と土
夏の強い日差しと暑さが苦手なので、木陰など明るい半日陰で育てましょう。水もちのよい、栄養豊かな湿り気のある土を好みます。2m近くに育つので、株の間は1mほどあけます。
水やりと夏越し
乾燥に弱いので、土が乾かないように水を与えます。夏は株元をワラや腐葉土でおおう「マルチング」をして、乾燥と地温の上昇を防ぎましょう。
収穫と株の寿命
砂糖漬けに使う茎は、春のやわらかいうちに収穫します。アンゼリカは2年目に花を咲かせ、種ができると株が枯れることが多い植物です。花茎が伸びてきたら切り取ると、株を数年楽しめます。根を使う場合は、1年目の秋に掘り上げます。
アンゼリカのよくある質問
- ケーキの上の緑の「アンゼリカ」は、このハーブですか?
- もともとはアンゼリカの茎の砂糖漬けでした。現在、日本で売られているものの多くは、フキを使って作られています。
- アンゼリカの花は何色ですか?
- 黄緑色の小さな花がボールのように丸く集まって咲きます。2年目の初夏に咲くのが一般的です。
- アンゼリカとアシタバは同じ仲間ですか?
- どちらもセリ科シシウド属の仲間です。日本のシシウドや生薬のトウキも同じ仲間です。
- 花が咲いたあと、枯れてしまいました。
- アンゼリカは、花を咲かせて種ができると枯れることが多い植物です。株を長く楽しみたい場合は、花茎が伸びてきたら早めに切り取りましょう。































