エルダーは、初夏にクリーム色の小さな花を、秋に黒紫色の実をつける落葉低木で、和名を「セイヨウニワトコ」といいます。マスカットのような甘い香りの花は「エルダーフラワー」としてハーブティーやコーディアルに、実は「エルダーベリー」としてジャムやシロップに使われます。このページでは、エルダーの特徴、伝統的な効能と使い方、生で食べてはいけない部分の注意点、育て方まで、まとめて紹介します。
| 名前・別名 | エルダー(Elder)/セイヨウニワトコ(西洋接骨木)/エルダーフラワー(花)/エルダーベリー(実) |
|---|---|
| 学名 | Sambucus nigra |
| 分類 | レンプクソウ科ニワトコ属(以前はスイカズラ科) |
| 種類 | 落葉低木 |
| 樹高 | 2〜6m |
| 原産地 | ヨーロッパ、西アジア、北アフリカ |
| 花期 | 5〜6月(クリーム色の小花) |
| 結実期 | 8〜9月(黒紫色の実) |
| 主な成分 | フラボノイド(ルチン、クエルセチン)、アントシアニン(実) |
| 寒さの目安 | 強い |
エルダーとは?特徴と名前の由来
エルダーは、ヨーロッパの林や生け垣、道ばたに広く生える落葉低木です。葉は5〜7枚の小葉が並んだ羽状複葉で、初夏になると、枝先にクリーム色の小さな花が平たい傘のように集まって咲きます。花には、マスカットのような甘い香りがあります。夏の終わりには、小さな黒紫色の実が房になって垂れ下がります。
ヨーロッパでは昔から身近な薬草の木で、花・実・葉・樹皮のすべてに使い道があることから「庭の薬箱」と呼ばれてきました。魔よけの木として、家の近くに植える習慣もありました。日本に自生するニワトコ(接骨木)は近い仲間で、和名の「接骨木」は、枝や葉を骨折の湿布に使ったことに由来するといわれます。日本でも縄文時代の遺跡から、ニワトコの実がたくさん見つかっています。

エルダーの効能と使い方
エルダーフラワーは、ヨーロッパで伝統的に、かぜのひきはじめや、くしゃみ・鼻水など季節の変わり目の不調に、温かいお茶にして飲まれてきました。「インフルエンザの特効薬」と呼ばれたこともあります。エルダーベリーも、冬に備えるシロップとして親しまれています。
エルダーフラワーティー
乾燥した花を小さじ1〜2杯ポットに入れ、熱湯を約200ml注いで5分ほど蒸らします。マスカットのような甘い香りの、やさしい味わいのお茶です。ペパーミントやカモミールとのブレンドもおすすめです。
エルダーフラワーコーディアル
イギリスで初夏の定番の手作りシロップです。咲きそろった花房を、薄切りのレモン・砂糖・湯と一緒に1〜2日漬けてから、こして作ります。水や炭酸水で割ると、さわやかなドリンクになります。

エルダーベリーのジャム・シロップ
完全に熟した黒い実を枝から外し、必ず加熱してジャムやシロップ、果実酒にします。ほかの果物と合わせると、色も香りも豊かになります。
花のフリッター・染料
ヨーロッパでは、花房に衣をつけて揚げ、砂糖をふってお菓子にします。葉や実、樹皮は、昔から布を染める染料にも使われてきました。
使うときの注意
- エルダーの葉・枝・樹皮・根、熟していない青い実、種には、体に有害な成分が含まれています。食べたりお茶にしたりしないでください。
- 熟した実も、生で食べると吐き気などを起こすことがあります。必ず加熱して使いましょう。
- 花を使うときは、茎をできるだけ取り除きましょう。
- 妊娠中・授乳中の人、子どもは、たくさんとるのを控えてください。
- 野生のニワトコの仲間には、似た植物もあります。種類がはっきりしないものは使わないでください。
エルダーの育て方
エルダーは、寒さに強く丈夫で、育てやすい木です。湿り気のある土を好み、乾燥に弱いので、夏の水切れに注意しましょう。成長が早いので、剪定で大きさを調節します。
| 月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 1月 | 2月 | 3月 | 11月 | 12月 | |||||||
| 花期 | 5月 | 6月 | ||||||||||
| 収穫(花) | 5月 | 6月 | ||||||||||
| 収穫(実) | 8月 | 9月 | ||||||||||
| 剪定 | 1月 | 2月 | 12月 | |||||||||
| 挿し木 | 2月 | 3月 | 6月 | 7月 |
※苗木の植え付けは落葉期(11〜3月)が適期です。

植え付け
苗木の植え付けは、葉が落ちている11〜3月が適期です。大きく育つので、庭植えの場合は周りに十分なスペースをとりましょう。鉢植えにする場合は、大きめの鉢を使います。
置き場所と土
日なたから半日陰で育ちます。花や実をたくさんつけたい場合は、日当たりのよい場所を選びましょう。湿り気のある、栄養豊かな土を好みます。中性から弱アルカリ性の土が向いています。
水やりと肥料
乾燥に弱いので、鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。庭植えも、夏に雨が少ないときは水やりをしましょう。肥料は、冬に寒肥として株元に堆肥や有機肥料を施します。
剪定
落葉期の12〜2月に、古い枝や混み合った枝、内側に向かって伸びる枝を根元から切り、風通しをよくします。花は前年に伸びた枝の先に咲くので、切りすぎないようにしましょう。
ふやし方
冬から早春に休眠中の枝を、または初夏に新しい枝を15cmほどに切って挿し木にすると、簡単にふやせます。地下茎やこぼれ種からも増えます。
エルダーのよくある質問
- エルダーとエルダーフラワーは違うものですか?
- 同じ植物です。エルダー(セイヨウニワトコ)の花をエルダーフラワー、実をエルダーベリーと呼んでいます。
- エルダーの効能は?
- ヨーロッパでは伝統的に、かぜのひきはじめや季節の変わり目の不調に、花をお茶にして飲まれてきました。
- エルダーベリーは生で食べられますか?
- 生で食べると吐き気などを起こすことがあるので、完全に熟した実を必ず加熱して、ジャムやシロップにしましょう。青い実や葉、枝は食べられません。
- 日本のニワトコと同じですか?
- 近い仲間ですが、別の種類です。日本のニワトコはSambucus racemosa subsp. sieboldianaで、実は赤く熟します。


































