ポプリとは
ポプリは、ハーブやスパイス、香料を混ぜ合わせ、さらにそれをビンやポットの中で熟成させた室内香です。
ハーブやスパイスのほか、香りの良い木片や樹脂などを用いることもあり、数種類の材料をブレンドすることによって香りに複雑さが増し深みを出すことができます。
ポプリの語源はフランス語の「POT-POURRI」で、直訳すると「腐った壺」。そこから「ごった煮」「寄せ集め」の意味に転じ、多様な材料を混ぜてつぼに入れて作ったことに由来しています。
主なポプリには、すべての材料を乾燥させて作るドライポプリ(英国風)と生乾きの材料に粗塩や黒砂糖を加えて保存処理をするモイストポプリ(フランス風)の2種類があります。
| ドライポプリ(英国風) | モイストポプリ(フランス風) | |
|---|---|---|
| 材料の状態 | 完全に乾燥させる | 半乾きのまま使う |
| 保存処理 | なし | 粗塩または黒砂糖 |
| 熟成期間 | 2週間〜1か月 | 10日+1か月 |
| 見た目 | 花や葉の色を楽しめる | 色は褪せるが香りが強い |
| 香りの持続 | 数か月〜1年ほど | うまく作れば数十年 |
ポプリに向くハーブ・向かない花
ポプリは、主材料(香りと見た目の主役)と副材料(香りに深みを出す脇役)を組み合わせて作ります。もらった花束で乾燥してきたものをそのまま利用することもできます。
| 役割 | 向いているハーブ・花 |
|---|---|
| 主材料 | ローズ、ラベンダー、ジャスミン、カモミール、マリーゴールド、コーンフラワー |
| 副材料 | ローズマリー、セージ、ミント、レモンバーベナ、レモンバーム、リンデン、ローリエ、シナモン、ローズヒップ |
| 香りづけ | 好みのエッセンシャルオイル(数滴) |
| 保留剤 | オリスルート(ニオイアヤメの根)、サンダルウッド、乳香、没薬 |
一方で、乾燥させると色や香りが損なわれてポプリに向かない花もあります。
| 花 | 理由 |
|---|---|
| ユリ、クチナシ | 乾燥すると茶色く変色する |
| 朝顔、ペチュニア | 乾燥すると縮んでしまう |
| パンジー、ヒヤシンス | 乾燥するとクセの強い香りに変化する(好みが分かれる) |
スイセンやジギタリスなど毒性のある植物は、小さな子どもやペットが誤って口にする恐れがあるためポプリには使わないでください。猫がいる家庭では、エッセンシャルオイルの使用にも注意が必要です。
ドライポプリの作り方
ポプリ作りのために、特別に必要となるものはありません。材料を混ぜて熟成させるだけなので、手軽に作ることができます。
それだけでなく、花や葉、茎、実などを組み合わせて自分だけのオリジナルポプリを作ったり、香りだけでなく見た目でも楽しませてくれます。
手順1 材料を乾燥させる
材料となる花や葉っぱを乾燥させます。自然乾燥させて花や葉がパリパリになったら完成です。自然乾燥が難しい場合は、電子レンジの600Wで1〜2分かければ大丈夫です。
手順2 瓶に入れて精油を加える
瓶や袋に材料を入れ、好きなエッセンシャルオイルを数滴加えます。その際、芳香を長く持たせるための保留剤(オリスルート=ニオイアヤメの根が万能)を入れても良いでしょう。
手順3 熟成させる
あとは、密閉して2週間から1か月熟成させれば出来上がりです。ときどき瓶を振って全体を混ぜると、香りが均一になじみます。
モイストポプリの作り方
モイストは英語で「湿った」という意味ですが、このモイストポプリでは粗塩や黒砂糖を保存料に用い、あとはドライポプリと同じ方法で作ります。
中世の時代にはスイート・ジャー(芳ばしいつぼ)と呼ばれていて、うまくブレンドしたモイストポプリは50年も香りが持続すると言われています。
材料
ドライポプリと同じく主材料・副材料を準備しますが、完全に乾かしきらない半乾きのものを使用します。そのほか、粗塩を2カップくらい用意してください。
黒砂糖を使う方法もありますが、塩で作ったモイストポプリの方が美しい仕上がりになります。
作り方
容器に塩を1〜2センチ敷いて、その上に主材料を乗せます。さらにその上に塩を入れて1〜2センチの層にし、蓋をして冷暗所に10日くらい寝かせます。全体を混ぜて副材料や保留剤を入れ、蓋をして1か月ほど熟成させれば完成です。
あるいは、混ぜずにポプリと塩の層を交互に積み重ねていく方法もあります。
春夏秋冬のポプリレシピ
ポプリは材料の組み合わせによって、さまざまな種類のものが楽しめます。ここでは、四季に合わせた春夏秋冬のポプリレシピを紹介します。
| 季節 | 主材料 | 副材料 |
|---|---|---|
| 春のポプリ | ラベンダー、フリージア、コーンフラワー、ピンクローズ | ローズマリー、セージ、ローズヒップ、レモンバーベナ |
| 夏のポプリ | ジャスミン、マリーゴールド、スペアミント、シャクヤク、ピンクローズ | カモミール、リンデン、ペパーミント、シナモン、ローリエ |
| 秋のポプリ | レモンバーベナ、カモミール、レモングラス、オレンジフラワー | ローズマリー、乳香、没薬、サンダルウッド、ジュニパーベリー |
| 冬のポプリ | ラベンダー、シクラメン | ピンクローズ、レモンバーム、ローズマリー、コーンフラワー |
香りを長持ちさせるコツ
ポプリの香りは時間とともに弱くなります。長く楽しむためのポイントをまとめました。
| ポイント | 理由・方法 |
|---|---|
| 保留剤を必ず入れる | オリスルートなどの保留剤が精油の揮発を抑え、香りの持続時間を大きく延ばす。 |
| 直射日光を避ける | 紫外線で花の色が褪せ、香り成分も飛びやすくなる。冷暗所か日陰に置く。 |
| ときどき混ぜる | 下層に沈んだ香りが表面に出て、香りが立ちやすくなる。 |
| 香りが弱くなったら | 同じ系統のエッセンシャルオイルを数滴足し、密閉して数日置くと復活する。 |
| 使わないときは密閉 | 飾らない期間は蓋つきの瓶に戻すと消耗を抑えられる。 |
ポプリの歴史
16世紀イギリスで活躍した薬学博士ニコラス・カルペッパーの文献によると、前述した「POT-POURRI」が室内香という意味に使われ始めたのは、エリザベス1世の時代(1533〜1603)以降であると記されています。
エリザベスの時代は、イギリス海軍がスペインの無敵艦隊を破りまさに全盛期であり、国教を確立し、学芸・文化に加えて園芸熱も非常に高まりました。軍隊が他国へ遠征してはイギリスにない植物を持ち帰り、あらゆる種類を保有していったと伝えられています。
「ロミオとジュリエット」で有名な文豪シェークスピアも薬草に造詣が深かったため、特に女王の求愛を受け宮廷の庭園に薬としても役立つハーブをたくさん栽培していたようです。
また、当時流行していたペストの予防にもハーブが使われ、集会場の床にハーブをまき散らしたり窓辺に吊るしたりして殺菌・消毒にも利用されました。
エリザベス女王はラベンダーを非常に好み、ジャムにしたラベンダーをいつも食卓に欠かさず、戴冠式の時にも「ハーブで作ったタッジーマッジー(花束)」を持っていたと記録にあります。このような香り好きの女王の影響を受けて、宮廷婦人たちの間にも、ハーブや花の香りを楽しむ人が増えていきました。
1575年になると、イタリアから帰国したオックスフォードのエドワード伯爵が土産として献上した香り手袋や香りのスイートバッグが女王の気に入るところとなり、これをきっかけに宮廷内に流行、それが徐々に一般大衆へと普及していきました。
宮廷婦人たちは、自分の館にスティル・ルーム(香料貯蔵室)を設けてハーブや花の香りを抽出するようになり、自家製手作りの花の香りを上等な飾りのつぼに入れて楽しんだのですが、これがポプリの由来となりました。大英博物館には、当時のポプリつぼも保存されています。
ポプリに使えるハーブは、ハーブの種類一覧から探せます。






























