ハーブの歴史(古代Ⅲ) 紀元前4世紀~1世紀

古代ギリシャ人とハーブ

ギリシャ パルテノン神殿古代ギリシャ人たちは、香料の製造と香料の特性や用い方について、非常に多くのことをエジプト人から学びました。

古代ギリシャの代表的な歴史家ヘロドトスと哲学者デモクリテスは、紀元前4世紀にエジプトを訪れた際、エジプト人は香料技術の名人だと述べています。

エジプトでの収穫エジプト人たちが花からの製油の抽出の技術に熟達したのはこの時期で、その有様はエドフの寺院の絵画に描き出されています。

この浮彫画には、学名をリリウム・カンディドゥムという白ユリ、別荘の庭に今でも見られるもっとも古い植物の一つであるこの白ユリの花から香料を採取している様子が描写されています。

有名なギリシャの医者マレステウスは、芳香のある植物とりわけ花は、刺激作用または鎮静作用を持つのが通例であるとしています。

ギリシャの風景マレステウスは、バラとヒヤシンスについて、これらは疲れた心をリフレッシュし活気づけるとして、フルーツ的な香りやさわやかな香りがする花々の大半もそれと同様の特性があると言います。

一方、ユリとスイセンはむせかえるようであり、その香りを十分に吸入すると知覚麻痺を引き起こすとしています。

テオフラストゥスの植物誌

洋書アリストテレスの弟子の一人で、『植物誌』を出版して植物学の祖とも呼ばれているテオフラストゥス(テオプラストス)は、花の香りは花びらの表面に近いところに含まれていて、太陽に熱せられると発散すると信じていました。

そして、根の香りは体温だけにより、あるいは薫香の場合と同様、火によって発散すると考えました。

テオフラストゥスは、オリーブ油を使って花の香りを吸収させることをすすめています。油や脂肪に吸収させると花の香りが純粋に保たれるばかりでなく、香りが長続きするからです。

テオフラストゥスは、次のように書いています。

「香料は、その芳香物質の効力にかんがみて、治療作用を有するものと考えられる。
膏薬ならびにハップと称するものの効果は、その薬効を証明する。
なぜなら、それらは腫瘍と潰瘍を散らし、肉体とその内側の書部分に明瞭な効果をもたらすからである。
腹部と胸部に膏薬を塗布すれば、息を芳しくする。」

テオフラストゥス(テオプラストス)(紀元前371年~紀元前287年) 国籍、職業:ギリシャ、哲学者・博物学者・植物学者

初めはプラトンの創設した学校アカデメイアで学んでいましたが、プラトンの死後はアリストテレスと共に研鑽を重ねました。

アリストテレスの弟子でもあり、『植物誌』および『植物原因論』を執筆、「植物学の祖」とも呼ばれています。植物に関する多くの重要な概念をつくった功績のほか、農学、林学、薬学の応用科学書、実用書という面もあわせそなえています。

形而上学から政治学、倫理学、立法学、論理学、心理学、弁論術、自然学、動植物学及び哲学史などに通じ、アリストテレスの学園の第二代学頭も務めています。

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